塗装NG!屋根材の種類と劣化症状を見極める判断基準について解説

屋根の塗装を検討中の方、もしかしたら「この屋根は塗装できない」と告げられた経験はありませんか?多くの屋根材は塗装できますが、一部の屋根材や、劣化が著しい屋根は塗装が不可能です。

塗装できない理由、適切な対処法、そして費用を抑える方法について、ご紹介します。


塗装してはいけない屋根材の種類と見分け方


ノンアスベスト化初期の屋根材に注意


2000年前後、アスベスト規制に伴いノンアスベスト屋根材が普及しました。

しかし、初期のノンアスベスト製品はアスベストに比べて強度が低く、塗装しても効果が期待できない場合があります。

代表的な製品には、パミール、レサス、シルバスなどがあります。

これらの屋根材は、経年劣化により層状剥離やひび割れ、欠損といった症状が現れやすいため注意が必要です。


代表的な塗装NG屋根材7選


・パミール(ニチハ株式会社、1996~2008年)

層状剥離(ミルフィーユ状に剥がれる)が特徴です。

塗装は避けるべきです。


・レサス(旧松下電工株式会社、現ケイミュー株式会社、1999~2006年)

強度が低く、ひび割れや欠損が多いです。

塗装による効果は期待できません。


・シルバス(旧松下電工株式会社、現ケイミュー株式会社、2001~2003年)

レサスの上位商品ですが、スリット入りデザインのため割れやすいです。

塗装はおすすめしません。


・コロニアルNEO(クボタ株式会社、2001~製造中止)

細かなひび割れや先端の劣化が目立ちます。

築年数や状態によっては塗装可能な場合もありますが、専門家の判断が必要です。


・アーバニーグラッサ(クボタ株式会社、2001~2005年)

うろこ状のデザインで強度が低く、ひび割れや欠損が多いです。

塗装は不向きです。


・ザルフグラッサ(クボタ株式会社、2001~2005年)

コロニアルNEOに似ていますが、スリット幅が広く、ひび割れや層状剥離が発生しやすいです。

塗装はおすすめしません。


・セキスイかわらU(積水屋根システム株式会社、1990~2007年)

塗膜の剥がれが目立ち、塗装前の高圧洗浄でさらに剥がれる可能性があります。

塗装は避けるべきです。


屋根材の見分け方確認方法と注意点


屋根材の種類は、屋根材自体に刻印されているメーカー名や製品名を確認することで判別できます。

しかし、経年劣化で刻印が消えている場合もあります。

また、設計図書と実際の屋根材が異なるケースもありますので、専門会社による点検が不可欠です。


自分で判断せず専門家に相談することの重要性


上記に挙げた屋根材以外にも、劣化状態によっては塗装が不可能な場合があります。

ご自身の判断で塗装を行うと、費用対効果が低く、かえって屋根の劣化を促進させる可能性があります。

専門会社に点検を依頼し、適切なメンテナンス方法を相談しましょう。


塗装してはいけない屋根材の劣化症状と対処法


ひび割れ・欠損が多い場合


屋根全体に多数のひび割れや欠損がある場合、屋根材自体の強度が低下しており、塗装しても効果が期待できません。

この場合は、カバー工法または葺き替え工事を検討する必要があります。


塗膜が剥がれている場合


前回の塗装が劣化し、塗膜が剥がれている場合、下地まで水が浸入している可能性があります。

下地が傷んでいる場合は、塗装前に適切な補修が必要です。

しかし、下地が著しく劣化している場合は、塗装は不可能です。


下地が傷んでいる場合


屋根材の下地(野地板や防水シート)が腐食している場合、塗装だけでは雨漏りを防げません。

カバー工法または葺き替え工事が必要となります。


雨漏りしている場合


雨漏りが発生している場合は、まず雨漏りの原因を特定し、適切な修理を行う必要があります。

雨漏りの原因が屋根材の劣化であれば、カバー工法または葺き替え工事が適切です。

塗装は雨漏りの根本的な解決にはなりません。


カバー工法と葺き替え工事の違いと費用


カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねる工法で、葺き替え工事より費用が安価です(費用相場:約80~150万円)。

葺き替え工事は既存の屋根を撤去し、新しい屋根材に交換する工法で、カバー工法より費用が高額です(費用相場:約100~200万円)。

いずれも、30坪、屋根面積80~100平方メートルの場合の概算です。


カバー工法・葺き替え工事のメリット・デメリット


カバー工法のメリットは費用が安く、工期が短いことです。

デメリットは、既存の屋根の劣化が激しいと施工できないことです。

葺き替え工事のメリットは、屋根全体を新しくできることです。

デメリットは、費用が高く、工期が長くなることです。


まとめ


塗装できない屋根材は、ノンアスベスト化初期の製品(パミール、レサスなど)や、劣化が著しい屋根材です。

塗装できない場合は、カバー工法または葺き替え工事を検討しましょう。

費用を抑えるためには、リフォームローン、外壁塗装との同時施工、自治体補助金の活用を検討することが有効です。

屋根のメンテナンスは、早めの点検と適切な対処が重要です。

専門会社に相談し、最適な方法を選択しましょう。

ご自宅の屋根の状態を的確に把握し、適切なメンテナンスを行うことで、住宅の寿命を延ばすことに繋がります。

不安な点があれば、専門家にご相談ください。